「動作が重くなってきた」「人に譲る前にきれいにしたい」——そんなときに検討するのがパソコンの初期化です。ただ、いざやろうとするとどのメニューから進めばいいのか、どれくらい時間がかかるのか、何が消えて何が残るのかがわかりにくく、途中で手が止まってしまう方は少なくありません。
この記事では、Windows 11・Windows 10・Macそれぞれの初期化手順を、事前準備から所要時間の目安まで順を追って解説します。あわせて、初期化が終わらないときの対処法と、初期化だけでは消えないデータの話も整理しました。
パソコンの初期化とは?何が消えて何が残るのか
初期化とは、パソコンを購入直後に近い状態へ戻す操作のことです。「リセット」「リカバリー」「工場出荷状態に戻す」と呼ばれることもありますが、指している内容はおおむね同じです。
初期化で消えるもの・残るもの
混同されやすいのですが、初期化してもOS(WindowsやmacOS)自体は残ります。消えるのは、あとから追加したデータやアプリです。
| 項目 | 初期化後 |
|---|---|
| 写真・書類などの個人ファイル | 消える(※オプション次第で残せる) |
| あとからインストールしたアプリ | 消える |
| 各種設定・アカウント情報 | 消える |
| OS本体(Windows / macOS) | 残る(再インストールされる) |
| メーカーが最初から入れていたアプリ | 残る場合が多い |
| ハードウェアの故障・劣化 | 直らない |
最後の行が重要です。初期化はあくまでソフトウェア面のリセットなので、バッテリーの劣化やストレージの物理的な不具合は初期化しても改善しません。「初期化すれば速くなる」と期待して作業したものの変わらなかった、というケースの多くはこれが原因です。
初期化が有効なケース・そうでないケース
- 有効:不要なアプリが溜まって動作が重い/設定を変えすぎて不調になった/人に譲る・売却する前に中身を消したい
- 効果が薄い:起動に何分もかかる(ストレージ劣化の可能性)/突然電源が落ちる(電源系の故障)/異音がする(物理故障)
初期化する前に必ずやっておく5つの準備
初期化を始めてしまうと途中で戻せません。次の5点は作業前に済ませてください。
1. データのバックアップを取る
外付けHDDやUSBメモリ、クラウドストレージにコピーします。デスクトップとドキュメントだけでなく、ダウンロードフォルダ、ブラウザのブックマーク、メールのデータも見落としがちです。
2. アプリのライセンス情報を控える
有料ソフトはライセンスキーやアカウント情報を控えておきます。台数制限があるソフトは、初期化前に「ライセンス認証の解除」をしておかないと、再インストール時に認証が通らないことがあります。
3. 各種アカウントからサインアウトする
特にMacの場合、Apple Accountからサインアウトしないと「探す」のアクティベーションロックが残り、次に使う人が使えなくなります。Windowsでも、Microsoftアカウントとの紐付けを確認しておくと安心です。
4. 電源を確保する
ノートパソコンは必ずACアダプタを接続した状態で作業してください。初期化の途中でバッテリーが切れると、OSが起動しなくなる可能性があります。
5. 周辺機器を外す
外付けドライブやUSBメモリは取り外します。接続したままだと、誤って外部ドライブを初期化してしまう事故が起こり得ます。
売却・譲渡が目的なら初期化だけでは不十分です
初期化は「使える状態に戻す」操作であり、データを復元不可能にする操作ではありません。第三者に渡す場合の注意点は後述します。
Windows 11の初期化手順
Windows 11では、設定アプリから初期化を実行します。
操作の流れ
- 設定を開く(スタートボタン → 歯車アイコン、またはWindowsキー+I)
- 左メニューのシステムを選ぶ
- 回復を選ぶ
- 「回復オプション」の中のこのPCをリセットにある「PCをリセットする」をクリック
- 「個人用ファイルを保持する」か「すべて削除する」を選ぶ
- 再インストール方法(クラウドダウンロード/ローカル再インストール)を選ぶ
- 内容を確認してリセットを実行
「個人用ファイルを保持する」と「すべて削除する」の違い
| 選択肢 | 残るもの | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 個人用ファイルを保持する | 写真・書類などのファイル | 自分で使い続ける/不調を直したい |
| すべて削除する | なし(OSのみ) | 売却・譲渡・廃棄する |
クラウドダウンロードとローカル再インストールの違い
「クラウドダウンロード」はインターネット経由で最新のWindowsを取得し直す方式、「ローカル再インストール」はパソコン内に保存されている回復イメージを使う方式です。ローカル再インストールで失敗する場合はクラウドダウンロードを試すと解決することがあります。ただしクラウドダウンロードは数GBの通信が発生するため、従量制の回線では注意してください。
他人に渡すなら「データのクリーニング」をオンに
「すべて削除する」を選んだあとの設定変更画面で、「データのクリーニングを実行しますか?」をオンにすると、ドライブ全体に書き込みを行ってから初期化します。時間は大幅に伸びますが、通常の削除より復元されにくくなります。売却・譲渡する場合はオンにしてください。
Windows 10の初期化手順
Windows 10も流れは同じですが、メニューの場所が異なります。
- 設定を開く(Windowsキー+I)
- 更新とセキュリティを選ぶ
- 左メニューの回復を選ぶ
- 「このPCを初期状態に戻す」の開始するをクリック
- 「個人用ファイルを保持する」か「すべて削除する」を選ぶ
- 画面の指示に従って実行
Windows 10は2025年10月14日にサポートが終了しています。初期化しても、セキュリティ更新が提供されない点は変わりません。継続して使う予定であれば、Windows 11へのアップグレード可否をあわせて確認することをおすすめします。
アップグレードの要件を満たさない古いパソコンの扱いについては、パソコンの寿命は平均3〜5年|買い替えサインと処分方法で判断材料をまとめています。
Macの初期化手順
Macは搭載チップとmacOSのバージョンによって手順が変わります。まずアップルメニュー →「このMacについて」で、チップ(Apple M系かIntelか)とmacOSのバージョンを確認してください。
消去アシスタントが使える場合(推奨)
Appleシリコン搭載機、またはApple T2セキュリティチップ搭載のIntel Macで、macOS Monterey以降であれば「消去アシスタント」が使えます。これが最も簡単で確実です。
- システム設定(旧システム環境設定)を開く
- 一般 → 転送またはリセットを選ぶ
- すべてのコンテンツと設定を消去をクリック
- 管理者パスワードを入力し、画面の指示に従う
消去アシスタントは、サインアウトやアクティベーションロックの解除もまとめて処理してくれます。
消去アシスタントが使えない場合
古いIntel Macでは、復旧モードから操作します。
- Macを再起動し、起動音のあとcommand(⌘)+ Rを押し続ける
- macOSユーティリティが表示されたらディスクユーティリティを選ぶ
- 起動ディスク(通常は「Macintosh HD」)を選び消去を実行
- ディスクユーティリティを終了し、macOSを再インストールを選ぶ
なお、Appleシリコン搭載機の復旧モードは、電源ボタンを長押しして起動オプションを表示する方式です。command+Rでは入れません。
初期化にかかる時間の目安
所要時間は、選んだオプションとストレージの種類・容量で大きく変わります。以下は一般的な目安です。
| 条件 | 時間の目安 |
|---|---|
| Windows/ファイルの削除のみ(SSD) | 30分〜1時間程度 |
| Windows/ファイルの削除のみ(HDD) | 1〜2時間程度 |
| Windows/データのクリーニングあり | 数時間〜半日 |
| Mac/消去アシスタント | 数分〜十数分 |
| Mac/再インストールを伴う場合 | 1時間前後(回線速度による) |
Macの消去アシスタントが極端に速いのは、データそのものを消すのではなく暗号化を解く鍵を破棄しているためです。鍵がなくなればデータは解読できないため、短時間で処理が完了します。
時間に余裕を持って、途中で電源を落とさなくて済むタイミングで始めてください。
初期化が終わらない・できないときの対処法
進捗が止まっているように見える
初期化中は、進捗率が同じ数字のまま数十分動かないことがあります。ストレージへのアクセスランプが点滅していれば処理は進んでいます。半日以上まったく変化がない場合を除き、電源は切らずに待ってください。
エラーで初期化できない
「問題が発生したため、PCを初期状態に戻すことができません」といったエラーが出る場合、次の順で試します。
- 周辺機器をすべて外して再実行する
- ローカル再インストールではなくクラウドダウンロードを選ぶ
- 回復ドライブ(USB)やインストールメディアを作成し、そこから初期化する
そもそもOSが起動せず設定画面まで行けない
Windowsが起動しない状態なら、電源投入と強制終了を数回繰り返すと自動修復が動き、「詳細オプション」から初期化に進める場合があります。それでも進めないときは、ハードウェア側の不具合が疑われます。
症状ごとの切り分けはパソコンが起動しない原因と対処法で詳しく解説しています。
初期化してもデータは完全には消えない
ここが、売却・譲渡・廃棄を考えている方にとって最も重要な点です。
通常の初期化では、データは復元可能な状態で残ります。初期化で消えるのは、データの保存場所を管理している情報だけです。本にたとえるなら目次を破り捨てただけで、本文のページはそのまま残っています。市販の復元ソフトを使えば読み出せてしまいます。
| 操作 | 復元の可否 |
|---|---|
| 通常の初期化 | 復元ソフトで可能 |
| 初期化+データのクリーニング | 困難 |
| Macの消去アシスタント | 困難(暗号化鍵の破棄) |
| 物理破壊 | 不可能 |
自分で使い続けるなら通常の初期化で問題ありません。ただし第三者の手に渡る場合は、上書き消去か物理破壊が必要です。具体的な手順はパソコンのデータを完全消去する方法にまとめています。
作業に不安がある場合や、法人で消去の証跡が必要な場合は、専門業者に任せる方法もあります。HAKUでは処分料・データ消去・データ削除証明書の発行をいずれも0円で承っており、郵送であれば全国どこからでも送料のみのご負担でご利用いただけます。料金や台数の条件はサービス条件一覧をご確認ください。
初期化しても改善しないなら寿命かもしれない
初期化したのに動作が変わらない場合、原因はソフトウェアではなくハードウェアにあります。
- 起動に何分もかかる:ストレージ(特にHDD)の劣化
- 異音がする:HDDまたは冷却ファンの故障
- すぐ電源が落ちる・熱い:バッテリーや電源系の劣化
- 画面がちらつく:ディスプレイまたは接続部の不具合
パソコンの寿命はおおむね3〜5年が目安とされています。購入から5年前後が経過していて、修理費が買い替え費用に近づくようであれば、買い替えを検討する時期です。判断基準はパソコンの寿命は平均3〜5年|買い替えサインと処分方法で整理しています。
買い替える場合、古いパソコンをどう処分するかもあわせて考えておくとスムーズです。方法ごとの違いはパソコン処分の方法【2026年最新版】にまとめています。
よくある質問(FAQ)
まとめ
パソコンの初期化について、要点を整理します。
- 初期化はソフトウェア面のリセット。ハードウェアの劣化や故障は直らない
- 作業前にバックアップ・ライセンス控え・サインアウト・電源確保・周辺機器の取り外しを済ませる
- Windows 11は「システム → 回復」、Windows 10は「更新とセキュリティ → 回復」から実行
- Macは消去アシスタントが使えれば最も簡単。古いIntel Macは復旧モードから
- 所要時間はSSDで30分〜1時間程度、クリーニングありなら数時間〜半日
- 通常の初期化ではデータは復元可能。第三者に渡すなら上書き消去か物理破壊が必要
- 初期化しても改善しないなら、寿命を疑って買い替えと処分を検討する
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