最終更新:2026年10月19日
クラウド移行やデータセンターの契約終了、機器更新にともなって発生するのが、ラックに収まったサーバーの撤去です。オフィスのパソコン処分と違い、データセンターでは入館手続き・作業時間の制約・ラックからの取り外し(アンラック)・重量物の搬出が加わり、しかも搬出後にはデータ消去、リース機器なら返却、自社資産なら売却か廃棄が待っています。
工程ごとに別の業者に頼むと、搬出業者とデータ消去業者の間で「どの時点まで誰がデータに責任を持つか」が曖昧になりがちです。本記事では、撤去計画の立て方から、現地作業の注意点、データ消去の方法の選び方、費用の考え方、そしてアンラックから証明書発行まで1社に依頼する場合の流れを整理します。
1. データセンター撤去の全体像|7つの工程
データセンターからサーバーを撤去して廃棄するまでの工程は、次の7つに分けられます。
| 工程 | 内容 | 主な担当 |
|---|---|---|
| ① 計画 | 対象機器の棚卸し、データの移行完了の確認、リース・保守契約の確認、スケジュール決定 | 自社(情シス・インフラ) |
| ② 入館手配 | データセンター事業者への作業申請、入館者の登録、搬出口・台車・エレベーターの予約 | 自社+撤去業者 |
| ③ アンラック | 電源断、ケーブル抜去、ラックレールからの取り外し、ラック番号・シリアルとの照合 | 撤去業者 |
| ④ 搬出 | 養生・梱包、台車での搬出、車両への積み込み、搬送 | 撤去業者 |
| ⑤ データ消去 | データセンター内でのオンサイト物理破壊、または搬出後の施設での物理破壊・ソフトウェア消去 | データ消去業者 |
| ⑥ 機器の行き先 | 自社資産は買取または廃棄、リース機器は返却先へ搬送 | 買取・廃棄業者、リース会社 |
| ⑦ 記録 | データ削除証明書の受領、資産台帳の更新、リース返却の受領確認 | 自社 |
③〜⑥を別々の業者に分けると、たとえば「搬出業者が運んでいる間のデータは誰が守るのか」「消去業者に渡す前に搬出業者の倉庫で一時保管されるのか」といった責任分界の問題が生じます。データが入ったままの機器が社外の複数の手を渡る状態を作らないことが、撤去計画の基本方針になります。
2. 撤去計画で最初に決めること
見積りを取る前に、自社で次の4点を決めておくと、業者との話が速く進みます。
- 対象機器の一覧:ラック番号、機器の種類(ラックマウントサーバー、ブレード、ストレージ、UPS、スイッチ)、メーカー・型番、ユニット数、台数。ストレージの内蔵ディスク本数も分かると、消去の見積りが正確になります。
- データ移行の完了確認:移行先での稼働確認が終わり、旧機器を落としてよい日付が確定していること。撤去日の直前にバックアップの最終確認を入れます。
- 所有形態:自社資産か、リースか、データセンター事業者からのレンタルか。リース機器は返却先と返却期限、返却時の状態(ディスク抜き取りの可否など)をリース会社に確認します。
- データ消去の要件:社内のセキュリティポリシーや顧客との契約で「機器を社外に持ち出す前に消去すること」「物理破壊であること」「立会いが必要」といった条件があるかどうか。これがオンサイト破壊かオフサイト消去かを決めます。
データセンターの契約終了にともなう撤去では、退去期限から逆算して作業日を押さえる必要があります。データセンター側の作業申請には1〜2週間程度の事前提出を求められることが多いため、撤去日の1か月前には業者を決めておくのが目安です。
3. 入館・アンラック・搬出の注意点
データセンターでの現地作業は、オフィスでの回収と比べて制約が多くなります。
- 入館手続き:作業者の氏名・所属・身分証の事前登録が必要です。当日の飛び入り参加はできないため、業者側の作業人数を早めに確定させます。
- 作業時間:共用ラックや他社と隣接するエリアでは、作業時間帯が指定されることがあります。夜間・休日の作業に対応できる業者かどうかも確認します。
- 電源断の順序:稼働中の他システムに影響しないよう、電源断は自社の担当者が行うか、立会いのもとで行います。PDU(電源分配ユニット)のどの口を落とすかを事前に図にしておきます。
- アンラックと照合:取り外した機器のシリアルナンバーを、撤去リストと1台ずつ照合します。ラック番号ごとに記録を残すと、証明書との突き合わせが楽になります。
- 養生と搬出:ラックマウントサーバーは1台20〜40kg、ストレージはそれ以上になるものもあります。床の養生、台車の種類、エレベーターの積載制限、搬出口までの経路を事前に確認します。
- 搬送中の管理:データが入ったまま搬出する場合は、GPSで走行管理された車両で、積み替えなしに消去施設へ直行することを業者に確認します。
4. データ消去はどこで・どの方法で行うか
サーバーのデータ消去は、場所(データセンター内か、搬出後か)と方法(物理破壊か、ソフトウェア消去か)の組み合わせで決まります。
| 方式 | 向いているケース | 特徴 |
|---|---|---|
| オンサイト物理破壊(データセンター内) | 機器を社外に持ち出す前に消去することがポリシーで決まっている。廃棄前提で、立会いのもと破壊を確認したい | 専用の穿孔・圧砕装置を持ち込み、HDD・SSD・NVMe をその場で破壊。データ入りの機器が一切社外に出ない。作業スペースと電源(100V)が必要 |
| 回収後の物理破壊(消去施設) | データセンター内で作業時間や場所が取れない。搬出後にまとめて処理したい | GPS管理車で消去施設へ直行し、到着次第破壊。写真付き証明書を発行 |
| ソフトウェア消去 | リース返却や再利用の予定があり、ディスクを残す必要がある | NIST SP 800-88 Rev.2 の Purge 水準に相当する消去を実施し、消去ログと証明書を発行。ディスクはそのまま返却・再利用できる |
HDD と SSD(NVMe・M.2 を含む)では破壊の方法が異なります。HDD は円盤(プラッタ)を変形・破断させれば読み出せなくなりますが、SSD は基板を曲げただけでは記憶素子(ICチップ)が無傷で残るため、チップを物理的に破断する必要があります。業者を選ぶときは、SSD・NVMe の破壊に対応した装置を持っているかを確認してください(詳細は「HDDとSSDの違い」「データ消去方法の選び方」)。
ストレージ装置やRAIDを組んだサーバーでは、ディスク本数が台数の数倍になります。証明書を「機器1台」単位で出すのか「ディスク1本」単位で出すのかも、事前に決めておきます。
5. 撤去後の機器の行き先|買取・リース返却・廃棄
データ消去が終わった機器の行き先は、所有形態によって3つに分かれます。
- 自社資産で、再流通できる機器:買取に回します。製造から数年以内のサーバーやストレージは中古市場で需要があり、買取額を撤去費用と相殺できる場合があります。
- 自社資産で、再流通できない機器:古い機器や故障品は、リユース・リサイクルを行う回収事業者に引き渡すか、廃棄物として処理業者に委託します。廃棄物として処理委託する場合はマニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付が必要です。
- リース機器:所有者はリース会社です。ソフトウェア消去でディスクを残した状態、またはリース会社が認めた方法で処理したうえで、指定の返却先へ搬送します。梱包・配送手配・受領確認までを撤去業者に任せられると、手配が1本化できます。
サーバーの処分方法と費用相場の全体像は「サーバーの処分方法【2026年版】」、Windows Server のサポート終了にともなう更新は「Windows Server 2016 サポート終了」をご覧ください。
6. 費用の考え方と見積りに必要な情報
データセンター撤去の費用は、「現地作業費(アンラック・搬出)」「データ消去費(破壊費または消去費)」「証明書費用」「搬送費」の合計から、「買取額」を差し引いたものになります。弊社の場合の目安は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 現地作業費(オンサイト破壊) | 16,500円〜/名(税込)。アンラック・搬出の作業量により変動 |
| 出張費(回収後に破壊) | 11,000円〜/名(税込)。東京23区以外および埼玉県・千葉県・神奈川県は別途お見積り |
| 破壊費 | 取り外し済みのHDD・SSD 1,540円/台〜、機器からの取り外し作業込み 2,090円/台〜(税込・1〜10台)。10台単位で単価が下がり、41台以上はさらにお安くなります |
| 証明書 | 写真付き物理破壊証明書 550円/台、一覧形式 2,200円/枚(最大20台・税込)。シリアルナンバー・作業日時・消去方法を記載 |
| 買取 | データ消去後の機器を買取し、請求額から相殺 |
見積りを依頼するときは、機器の一覧(種類・型番・台数・ディスク本数)、データセンターの所在地と入館条件、希望する消去方法と場所、リース返却の有無、希望日程の5点を伝えると、1回のやり取りで概算が出ます。料金の正式な一覧は「サービス条件一覧」に掲載しています。
7. 1社に一括で依頼する場合の流れ
弊社では、データセンターのサーバー撤去をアンラックから搬出・データ消去・買取またはリース返却・証明書発行まで1社でお受けしています。流れは次のとおりです。
- お問い合わせ・ヒアリング:機器の台数・種類、データセンターの場所、スケジュール、リース返却の有無を伺い、消去方法と場所を提案します。
- 入館手配:作業者の登録情報をお渡しし、お客様からデータセンター事業者へ作業申請していただきます。
- アンラック・搬出:ケーブル抜去、ラックからの取り外し、ラック番号・シリアルの照合、養生・梱包、搬出まで行います。アンラック不要の場合は引き上げのみも承ります。
- データ消去:データセンター内でのオンサイト物理破壊、または GPS 管理車で弊社セキュリティルーム(東京都千代田区外神田)へ搬送して破壊、あるいはソフトウェア消去を実施します。
- 買取・返却:消去済みの機器は買取して請求額から相殺、リース機器は指定先へ搬送し受領確認まで行います。
- 証明書の発行:シリアルナンバー・作業日時・消去方法を記載したデータ削除証明書をPDFで発行します。
対応できるメーカーに制限はなく、Dell・HP・IBM・富士通・NEC などの主要メーカーのほか自作サーバーにも対応しています。数台のスポット案件から数百台規模の撤退まで、規模に合わせてご提案します。サービスの詳細は「データセンターサーバー撤去サービス」をご覧ください。
まとめ
データセンターのサーバー撤去は、計画・入館手配・アンラック・搬出・データ消去・機器の行き先・記録の7工程で考えます。ポイントは次の4点です。
- 見積り前に、機器一覧・データ移行の完了・所有形態・消去要件の4点を自社で決める
- データ入りの機器が複数の業者の手を渡らないよう、搬出から消去までの責任分界を1社にまとめる
- 消去は「場所(センター内か搬出後か)×方法(物理破壊かソフト消去か)」で選び、SSD・NVMe の破壊に対応した業者を選ぶ
- 証明書はシリアルナンバー単位で受領し、資産台帳とリース返却の記録と突き合わせる
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株式会社HAKUは、データセンターでのアンラック・搬出からデータ消去・買取やリース返却・証明書の発行まで、サーバー撤去を1社で対応しています。
- 1台から大量処分まで対応。処分料・データ消去・データ削除証明書の発行は0円(出張回収は地域ごとの台数条件あり、郵送は送料のみ負担)
- NIST SP 800-88 Rev.2 に準拠したデータ消去(物理破壊・磁気消去・ソフトウェア消去)
- 消去方法を指定したい場合は有償のHDD・SSD物理破壊サービス(お客様先での立会い破壊にも対応)
- プライバシーマーク取得・ADEC消去プロセス認証★★★取得、2026年9月時点で累計取引社数15,000社
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